From： 久保昌也
■「仕事が人生の全て」だと、言うつもりはありません。
それでも。
これからあなたは、人生のかなり多くの時間を、仕事に投入することになります。
仕事が楽しければ、人生は楽しいものになります。
仕事がつらければ、人生はつらいものになります。
だから、「仕事が人生に大きな影響を与える」ことは、間違いないと思います。
■ここでもう少し具体的にイメージできるように、ある男性の話をしてみようと思います。
彼＝Ａ君は、いわゆる大手の会社に就職ができて、最初はホッとしていたそうです。
求人倍率が高い中で自分が選ばれたことに、誇らしくも思いました。
ご両親もこれで安心と、喜んでくれました。
けれど、勤め始めて３年ほどしたころ、Ａ君に転機が訪れます。
ようやく仕事にも慣れてきたころでした。
Ａ君はある朝、目が覚めたら体が熱っぽいことに気付きました。
体温計で測ったら、37.8度あります。
普通なら、「ヤバい」と思うところです。
けれども、Ａ君はこう思ったそうです。
「よし、今日は会社に行かなくてすむ。」
Ａ君は心の中でそう思ったと同時に、強烈な自己嫌悪に陥りました。
自分なりに一生懸命考えて、入社を決めた会社。
それなのに、その会社を休めることを喜んでいる自分に、気付いてしまったのです。
■繁忙期で疲れが溜まっている時などに、ふとこんな思いがよぎることは、もしかしたら誰にでもあることかもしれません。
それでも普通は、ゆっくり休んで体調が戻ったら、またこれまで通りに仕事に取り組むものです。
けれども、この朝の感覚は違いました。
布団の中で、Ａ君はこれまでの３年間を振り返っていました。
実は、Ａ君はこれまで暗黙のノルマに追いかけられる毎日で、かなりストレスを抱えていました
「僕の人生、このままでいいのか？」
真面目なＡ君は、その後もなんとか自分の仕事にやりがいを見つけようと頑張ります。
でも、一度”違和感”に気付いてしまってからは、頑張れば頑張るほどその”違和感”は大きくなっていきました。
負のスパイラルです。
結局、Ａ君はその会社を退社することになりました。
■何が問題だったのでしょうか？
何を間違えたのでしょうか？
簡単です。
Ａ君の仕事です。
Ａ君は、自分の仕事が嫌いだったのです。
繰り返しになりますが、あなたの人生に与えられた時間の内、「仕事をしている時間」はとても大きな割合を占めます。
たとえ会社の待遇が良くても、たとえ名前の知られた大きな会社であっても。
その中での仕事が嫌な時間だったら、あなたは自分の人生を好きになれるのでしょうか？
Ａ君は、この仕事をあと１０年、２０年と続けていくことは、不可能だと思いました。
そしてそうであれば、早めに辞めようと決断したのでした。
Ａ君にとって、重大な決断でした。
■「仕事が人生の全て」だと、言うつもりはありません。
それでも、「仕事が人生に大きな影響を与える」と思う私の考えに、ちょっとでいいので、あなたは同意してくれるでしょうか。
少しでも、あなたの心がザワついたのなら。
Ａ君の人生に、あなたの人生を重ね合わせて、あなたの将来と仕事について、ゆっくりと考えてみて下さい。
誰の人生でもない、あなたの人生です。
「仕事選びは大切です」といった言葉を、これまでなんとなく聞き流していたあなたが、これから少しでも真剣に受け止ようと思ってくれたとすれば、今回の私の話は意味があったことになり嬉しいです。
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